みなさま、こんばんは。
相変わらずの、じっとりしたどんより天気が続いておりますが
いかがお過ごしでしょうか。
昨日のせっかくの皆既日食も、曇りのため見えにくく
なんだか今の季節がいやになってしまう気分ですので
今日は、夏の話題にしたいと思います。
夏の南仏、乾いた眩しい気候、美しい地中海、そして美味しい料理。
1991年 シェフ船橋が、南仏 Saint Paul de Venceで
(サン・ポール・ド・ヴァンス)
仕事をしていた時の話です。
時を同じくして、私は小学校でのびのびと過ごしていたとき。
横綱、千代の富士が現役を引退した年。
さくらももこの「もものかんづめ」が流行った年。
そう、今日は昔話。。^^
南仏の街、サン・ポール・ド・ヴァンスは
モナコから北西に約6kmの距離にある、中世の街です。
13世紀から、丘の上に丸く広がる城壁の街。
(丘の上な感じが、よく分かる写真です。
レストランスタッフと船橋。)^^
サン・ポール・ド・ヴァンスの南の方では
せり出した石崖の間から、地中海のエメラルドグリーンの海が
180度楽しめます。
ゆえに、古くから富裕層の別荘地としても有名です。
そんな街にあるレストラン、
「 Diamant Rose /ディアマン ローズ 」は
(ピンクダイヤモンドの意味)
ジャック マキシマンがシェフを務めるお店でした。
マキシマンがシェフに就任した1991年には
ミシュランガイドブックの暫定2つ星レストランで
(マキシマンの店は、最低2つ星がつくので)
翌年の1992年、ガイドブックが新しくなった時には
やはり2つ星レストランになっていたそうです。
そんなマキシマンの下で働く船橋。
とある日、マキシマンの指示通り
スペインの生ハムと、シェーブルチーズで船橋がサラダを作り
お客様に出した、しばらくした後。。。
半地下にある厨房に、女優さんですか〜!?と思う程の
美しい女性が、赤ちゃんを抱っこして現れ
船橋が見とれていると、マキシマンが
「お前でも知ってる人がくるぞ」と言うので
「誰だろう?」と思っていると
イヴ モンタンだったそうです!
(イヴ モンタンは、イタリア出身のフランスで活躍した歌手であり俳優です。)
イヴ モンタンの別荘が、ディアマン ローズのすぐ近くにあり
彼はヴァカンスで、この土地を訪れていました。
(美しい女性と赤ちゃんは、彼の奥様と子供でした。)
「ジャッーク!!!今晩は、素晴しい夜だった!!
お前の料理を食べないと、俺のヴァカンスは終わらない!」と
とても大喜びだったそうです。
喜んでくれたサラダは、マキシマンが指示して、船橋が作った料理。
マキシマンは、船橋に目配せ ♪ ^^
そして時は流れ、その年の冬。
残念なことに、イヴ モンタンは亡くなられてしまいました。
この訃報を聞いたとき、マキシマンは
「お前のサラダを食べて、あんな元気に大喜びだったのにな。」
と、ぽつりと船橋に話したそうです。
イヴ モンタンも愛した、マキシマンの料理。
マキシマンの出身地はブルターニュですが、
オリーブオイルや、モッツァレラ、パルメジャン、マカロニ、茄子など
南の食材を多用する料理人でした。
ゆえに、イタリア出身のイヴ モンタンとは
食の趣向が似ていたのかもしれません。
そのレストラン、ディアマン ローズで
定番のサラダとして出していたのが
「仔羊モモ肉のローストと、モッツァレラと、トマトのサラダ」でした。
定番のサラダでしたので、いつも仔羊のモモは焼いていたそうです。
先週末、ヴュー ロジでは
久し振りにモッツァレラチーズを入荷したのと
羽黒ラムのモモ肉を焼いていたので
そのサラダを作りました。
ヴァカンスの季節
湿気なんてまったく感じさせないフランスの夏の気候と
南仏の眩しい日差しを思い出させる料理。
マキシマンを。そして、イヴ モンタンを。。
今日はそんな昔話。。。^^
(↑マキシマンと)
(↑これはディアマン ローズを辞めるとき
店のみんなとお別れ飲み会の写真です。^^;)
先週末、お薦めしましたこの仔羊とモッツァレラのサラダを
美味しかった!と喜んで下さったみなさま
ありがとうございました。
ジャック マキシマンは
ポルシェや大型バイクが大好きであったことからも分かりますが
スピードをこよなく愛するシェフで
驚くべき瞬発力と集中力で、料理を完成させるシェフでした。
ゆえに、「かまどの前のナポレオン」などと評されたこともあります。
故 辻静雄先生は、マキシマンについて
このように書かれています。
『初めてマクシマンに会った時は、きかんきの、立居振舞の荒々しい男と
いった印象だった。ところが、ひとたび私の学校で教壇に立った時に、
彼の茶目っ気な目つきは消えた。眉間に小皺をつくり、
自分のやることなすことみな気に入らないといった感じだった。
料理ができ上がると、本当はもっと僕ならいい仕事ができるんだけどな
といった目つきをして私の前に差し出した。正直いってびっくりした。
味がふくよかなのである。穏やかでもあった。何か料理の味というのは
こうやってつけるのが正解なんじゃないでしょうかといいたげな、
静謐さえ感じさせるものだった。人は見かけによらないとよくいうが、
本当にこの言葉を実感したものである。』
(「新フランス料理 ジャック マクシマン 私の料理の色・味・香り」より一部引用)
辻静雄先生が、こう評されるように
マキシマンの作り出す料理は、無駄をなくし、美しく、
そして、軽いものでした。
「ジャック マキシマン 神戸」のレストランが
バブルがはじけて泡とならなければ、シェフをしていた船橋。
これからも、折りにふれ
マキシマンのエスプリを伝えていきたいと思っています。
P.S.
←作ったけど、結局使えなかった名刺。;; けれど金が使ってあって、とても綺麗なのでパチリ☆)